バイオマス複合樹脂・リサイクル樹脂用消臭剤(VOC低減剤)『ケシュナール』

樹脂練り込み型消臭剤(VOC低減剤)
『ケシュナール』はここがすごい

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樹脂を溶融混練する際に添加することで臭気(VOC)の発生を抑制

環境負荷低減材料としてバイオマス複合樹脂、リサイクル樹脂が注目されていますが、これらは健康被害の原因となるVOC成分や独特の臭気を発生する課題があります。
臭気(VOC)成分は樹脂を溶融混練にて製造する際に多く発生し、それらは成形時のみでなく、成形後も徐々に系外に放出され悪臭を放ちます。

これらの課題に対し、三洋化成の強みである界面制御技術(分散技術、相溶化技術)を活用し、樹脂用消臭剤である『ケシュナール』を開発いたしました。

樹脂の溶融混練時に添加することにより、『ケシュナール』が臭気(VOC)成分を捕捉して物理的に消臭するだけでなく、化学反応により熱劣化による臭気の発生を抑制することができます。

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さまざまなバイオマス複合樹脂やリサイクル樹脂に適用可能

バイオマス複合樹脂、リサイクル樹脂などの臭気(VOC)が課題となる樹脂全般に適用できるように、各用途に適した消臭剤(VOC低減剤)をラインナップしております。

樹脂の例:でんぷん、木粉、貝殻、卵殻等のバイオマスと熱可塑性樹脂(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)との複合樹脂や、リサイクルされたPP、PEなどのポリオレフィン樹脂を始めとするマテリアルリサイクル樹脂

樹脂の溶融混練時に『ケシュナール』を添加することにより、『ケシュナール』が臭気成分を捕捉し、樹脂中に固定化することができます。

バイオマス複合樹脂・リサイクル樹脂用消臭剤(VOC低減剤)
『ケシュナール』のグレード一覧(開発品)


ケシュナール BM-09Eケシュナール BM-09Pケシュナール RP-11
用途例バイオマス複合樹脂(PE系)バイオマス複合樹脂(PP系)リサイクル樹脂(PP系)
対象臭気(VOC)アルデヒド、ケトン、アルケン、複素環化合物、アルコール、酸、フラン類ポリオレフィン分解物に由来する臭気成分
特徴・バイオマス由来の臭気成分に効果大。
・熱劣化による臭気の発生を抑制
・消臭成分の分散技術により物性が低下しにくい
・リサイクル樹脂の臭気成分に効果大。
・消臭成分の分散技術により物性が低下しにくい。
消臭メカニズム臭気成分の吸着捕捉による物理的消臭+臭気成分の発生抑制臭気成分の吸着捕捉による物理的消臭
性状乳白色ペレット
(PEマスターバッチ)
乳白色ペレット
(PPマスターバッチ)
黒色ペレット
(PPマスターバッチ)
有効成分80%80%60%
PL登録*

*表中の〇は、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度で認められた成分のみを使用していることを表す。

バイオマス複合樹脂・リサイクル樹脂用消臭剤(VOC低減剤)
『ケシュナール』各グレードの特徴と評価例

ケシュナール BMシリーズ(BM-09E、BM-09P)の特徴、評価例

特徴

『ケシュナール BM-09E、BM-09P』は、①極性の高い臭気(VOC)成分を効率的に捕捉する、②混練時の熱分解による臭気(VOC)成分の発生を抑制する、これら2つのメカニズムにより極性の高い臭気(VOC)成分が課題となるバイオマス複合樹脂等に高い消臭効果を示します。

当社評価でアルデヒド、ケトン、有機酸、フラン類、窒素複素環化合物を低減することが確認できており、樹脂の青臭さ、焼けた臭い、香ばしい臭いなどを低減できます。

バイオマス複合樹脂だけでなく、リサイクル樹脂に含まれる極性基を有する臭気成分を低減することも可能です。
当社の強みである界面制御技術により消臭剤添加による物性低下を最小限に抑えています。

想定用途

オレフィン系バイオマス複合樹脂、リサイクル樹脂など、比較的極性の高い臭気成分が課題となるオレフィン系樹脂

消臭(VOC低減)評価例①

様々な臭気成分を含有するPE系バイオマス複合樹脂に対し、『ケシュナール BM-09E』を評価した。

臭気官能評価
BM-09官能評価グラフ

図 臭気官能評価結果

(評価方法)
消臭剤をPE系バイオマス複合樹脂に対して4%添加し、ラボプラストミルで170℃×5分混練した。熱プレス機で170℃×30秒プレス成型し、チャック付きのポリ袋に入れて翌日の臭気を確認した。

<官能評価指標>
0:無臭
1:弱い(やっと感知できる)
2:何の臭いかわかる弱いにおい
3:らくに感知できる
4:強い
5:強烈
(10人の評価結果から平均値を算出した)
臭気(VOC)低減の定量評価

(評価方法)
BM-09EをPE系バイオマス複合樹脂に対して4%添加し、ラボプラストミルで170℃×5分混練した。熱プレス機で170℃×30秒プレス成型したものを凍結粉砕し、TD-GC/MSを用いて、Controlに対する各成分の面積から臭気(VOC)成分の発生指数を算出した。

ケシュナール BM-09EをPE系バイオマス複合樹脂に添加することにより、アルデヒド、酢酸、フラン、ピラジン等の発生が低減され、バイオマス複合樹脂特有の青臭さや焼けた臭いを抑えることができました。

ケシュナール RP-11の特徴、評価例

特徴

『ケシュナール RP-11』は、BMシリーズの特徴に加え極性の低い臭気(VOC)成分も捕捉するよう設計しており、オレフィン系リサイクル樹脂に含まれるポリオレフィン分解物に由来する低極性の臭気成分を効率的に捕捉します。

BMシリーズ同様、当社の強みである界面制御技術により消臭剤添加による物性低下を最小限に抑えています。

消臭(VOC低減)評価②

リサイクルPPに対し、『ケシュナール RP-11』を評価した。

臭気官能評価
PR-11官能評価

図 臭気官能評価結果(リサイクルPP樹脂)

(評価方法)
消臭剤をリサイクルPP樹脂に対して4%添加し、ラボプラストミルで200℃×5分混練した。熱プレス機で200℃×30秒プレス成型し、チャック付きのポリ袋に入れて翌日の臭気を確認した。

<官能評価指標>
0:無臭
1:弱い(やっと感知できる)
2:何の臭いかわかる弱いにおい
3:らくに感知できる
4:強い
5:強烈
10人の評価結果から平均値を算出した
臭気(VOC)低減の定量評価

(評価方法)
RP-11をリサイクルPP樹脂に対して4%添加し、ラボプラストミルで200℃×5分混練した。熱プレス機で200℃×30秒プレス成型したものを凍結粉砕し、HS-GC/MSを用いて、Controlに対する各成分の面積から臭気(VOC)成分の発生指数を算出した。

ケシュナール RP-11をリサイクルPPに添加することにより、PP分解物に由来する臭気成分(ケミカル臭)の発生が低減され、臭気を抑制することができました。

ケシュナール 各グレードの樹脂物性への影響

臭気が課題となる各種樹脂に『ケシュナール』を添加して物性評価した結果、大きな物性の低下は見られませんでした。

物性評価例① PE系バイオマス複合樹脂(フィルム成形品)

バイオマス度25%のPE系バイオマス複合樹脂に対し、『ケシュナール BM-09E』を評価した。

試験項目添加なし

BM-09
4%添加

引張強度(MPa)18.118.0
引張伸び(%)693690

(評価方法)25%のバイオマス(小麦フスマ)を複合するPE系樹脂に、BM-09Eを二軸押出機で溶融混練し、JIS K6922に準拠して評価した。

物性評価例② PP系バイオマス複合樹脂(射出成形品)

バイオマス度50%のPP系バイオマス複合樹脂に対し、『ケシュナール BM-09P』を評価した。

試験項目添加なし

BM-09P
4%添加

引張強度(MPa)1716
曲げ強度(MPa)3232
曲げ弾性率(GPa)2.02.1

(評価方法)
小麦フスマ(50wt%)*、PP樹脂(50wt%)、BM-09Pを二軸押出機で溶融混練し(200℃)、射出成形機を使用して試験片を作成した。(成形温度:200℃、金型温度50℃) *小麦フスマ:平均粒径180μm、事前乾燥し(80℃、2時間)使用した。
曲げ試験:ASTM D790、引張試験:ASTM D638に準拠。

物性評価例③ リサイクルPP(射出成形品)

リサイクルPPに対し、『ケシュナール BM-09P、RP-11』を評価した。

試験項目添加なし

BM-09P
4%添加

RP-11
4%添加

引張強度(MPa)232223
曲げ強度(MPa)303032
曲げ弾性率(MPa)880890940
アイゾット衝撃強度 (kJ/m2)10.09.09.0

(評価方法)
リサイクルPP、消臭剤を二軸押出機で溶融混練し(200℃)、射出成形機を使用して試験片を作成した。(成形温度:200℃、金型温度50℃) 
曲げ試験:ASTM D790、引張試験:ASTM D638、アイゾット衝撃試験:JIS K7110(ノッチ付)に準拠。

使用上の注意事項

本品を取り扱うにあたっては、本品および副資材(化学品)の「安全データシート」(SDS)を事前に必ずお読みください。

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