ABS樹脂向け耐薬品性向上剤『ファンクティブ 』

少量添加でABS樹脂の耐薬性を向上させ、
各種薬品によるプラスチック劣化トラブルを解決

三洋化成のABS樹脂向け耐薬性向上剤
『ファンクティブ』はここがすごい

1

ABS樹脂の耐薬性の向上

消毒用エタノールから、活性剤入りの薬剤、ガソリンまで、ラインナップの選定と組み合わせにより、ターゲットに応じた耐薬性向上組成を提案いたします。

2

少量添加で樹脂の耐薬性効果を発現、樹脂物性を低下させない

数%程度の少量添加で耐薬性効果を発揮するため樹脂物性をほとんど低下させず、安心してお使いいただけます。

3

透明ABS樹脂やABS/PCアロイにも対応

視認性や耐衝撃性が求められる樹脂成形品の耐薬品性向上にもお使い頂けます。

なぜ医療機器において、ABS樹脂の耐薬品性が重要なのか

ABS樹脂の耐薬品性

ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの3成分からなる熱可塑性樹脂であり、アクリロニトリルの耐熱性、機械的強度、ブタジエンの耐衝撃性、スチレンの光沢性、加工性、安定性を併せ持つため、「剛性(硬さ)」と「耐衝撃性」のバランスにも優れており、家電や自動車車載部品、住設関連部材、OA製品などの筐体など、幅広い分野で使用されています。
しかしながら、ABS樹脂は非晶性樹脂であり、ポリオレフィンなどの結晶性樹脂に比べると耐薬品性に劣るという欠点があります。

ABS耐薬品性不足によるトラブル例

薬品例:塗料や接着剤中に含まれる有機溶剤や食用油、衣料用洗剤、日焼け止め、化粧品、消毒用エタノールなど

耐薬性不足によるトラブル例:

  1. 樹脂の軟化、脆化、溶解、これに伴う外観不良
  2. 樹脂表面での微小クラックの発生、目視可能レベルのひび割れの発生

特に(1)はソルベントクラック、ケミカルクラック、ストレスクラック、環境応力亀裂などと呼ばれており、ABS樹脂の代表的な不良発生の原因となっております。従来、薬品との接触が多い用途では、表面処理などの二次加工や耐薬品性が高い他樹脂への置き換えなどが行われており、その結果コストアップにつながるなど、製品設計を行う上で制約が生じる場合があります。

ABS樹脂の耐薬品性向上剤『ファンクティブ』

ファンクティブシリーズの主要ラインナップ 

試験条件 融点:DSC法、分子量;高温GPC法
試験項目 ファンクティブ Y-200 ファンクティブ P-600
ガソリン、炭化水素等
疎水性の薬品に対する耐薬性向上
消毒用エタノール、洗剤や日焼け止めなどに対する耐薬性向上。透明ABS樹脂にも対応
外観 黄色粒状 淡黄色ペレット状
融点(℃) 135 203
分子量 (Mw) 約30,000 約30,000

『ファンクティブ』の添加効果

  • ファンクティブの添加により、ABS樹脂の耐薬品性が向上し、一方で機械物性はほとんど変化しません。
  • ファンクティブの添加による樹脂のメルトフローレート(MFR)の変化量は小さく、成形加工性への影響も微小です。

ABS樹脂へのファンクティブ添加効果

品番 (特徴) ABS樹脂のみ 添加無し ABS/
ファンクティブ
Y-200(5%)
ABS/
ファンクティブ
P-600(5%)
ABS/
ファンクティブ
Y-200(2.5%)
P-600(2.5%)
ABS/
ファンクティブ
Y-200(5%)
P-600(5%)



ガソリン ×
消毒用エタノール※1
衣料用洗剤
(弱酸性)※2
×
浴室用洗剤
(中性)※3
×
曲げ強度 MPa 76 72 73 74 68
曲げ弾性率 GPa 2.4 2.4 2.4 2.3 2.2
引張強度 MPa 51 44 49 48 45
アイゾット衝撃強度 kJ/m2 28 9 17 9 8
MFR   g/10min 20 20 33 22 27
 耐薬品性試験法

1/4楕円状治具上に、射出成形した試験片を固定、この上に試験薬品を塗布し、23℃50RH%の条件下で20時間放置し、クラック発生位置から臨界歪値(ε)を算出した。

評価基準

耐薬品性×:ε<0.7
耐薬品性△:0.7 ≦ ε<0.8
耐薬品性○:0.8 ≦ ε
耐薬品性◎:クラックなし

耐薬品性試験薬品

※1:70%水溶液、 ※2:花王(株)製 「アタックNEO抗菌EX Wパワー」、※3:花王(株)製 「バスマジックリン」

添加した樹脂の機械物性評価
曲げ試験:ASTM D790、引張試験:ASTM D638、アイゾット衝撃試験:JIS K7110(ノッチ付)

MFR:JIS K7210 (220℃, 10kgf)に準拠。 

 PC/ABSアロイへのファンクティブ添加効果

  • PC/ABSアロイは耐衝撃性に優れるため、樹脂の剛性が求められる用途に適用されます。
  • ファンクティブは少量添加で耐薬品性向上効果を発揮するため、添加した樹脂の耐衝撃性を大きく損なうことなく耐薬性を向上させることができます。
試験薬品 ファンクティブの添加量(%)
添加無し Y-200 5% P-600 5% Y-200 2.5%
P-600 2.5%
Y-200 5%
P-600 5%
ガソリン × × × ×
消毒用エタノール ※1
衣料用洗剤(弱酸性)※2 × × ×
浴室用洗剤(中性)※3
耐薬品性試験薬品

※1:70%水溶液、 ※2:花王(株)製 「アタックNEO抗菌EX Wパワー」、※3:花王(株)製 「バスマジックリン」
※4:ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)製「ニュートロジーナウルトラシアードドライタッチ日焼け止め(SPF55)」

透明ABS樹脂へのファンクティブ添加効果 視認性と耐薬品性の両立

これまで透明性を有するABS樹脂のグレード(透明グレードABS樹脂)に耐薬品性を付与させようとすると、透明性を損なうことがありました。

『ファンクティブ P-600』では、透明グレードABS樹脂の透明性を維持したまま耐薬品性を向上できるように組成設計をしています。特に消毒用エタノールに対して高い効果を発揮します。

透明ABS樹脂にファンクティブを添加した際の耐薬品性の評価結果

品番 (特徴) 透明ABSのみ 透明ABS/ ファンクティブ P-600(5%)



消毒用エタノール ※1 ×
衣料用洗剤(弱酸性) ※2 ×
浴室用洗剤(中性) ※3 ×
日焼け止め ※4 ×
耐薬品性試験薬品

※1:70%水溶液、 ※2:花王(株)製 「アタックNEO抗菌EX Wパワー」、※3:花王(株)製 「バスマジックリン」
※4:ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)製「ニュートロジーナウルトラシアードドライタッチ日焼け止め(SPF55)」

透明ABS樹脂成形品の外観比較(透明グレードABS樹脂)

耐薬品性試験前 耐薬品性試験後
(衣料用洗剤 弱酸性)
透明ABS樹脂のみ
(添加なし)
透明ABS樹脂/
ファンクティブ
P-600(5%)
試験薬品

花王(株)製 「アタックNEO抗菌EX Wパワー」

ファンクティブ適用例

ABS樹脂の耐薬品性を向上させることで、以下用途への適用が期待できます。

1

自動車外装部材

ドアハンドル、サイドミラーハウジング、スポイラー、ラジエーターグリルなど

期待される効果

塗料中の溶剤による樹脂のクラック発生を防止し、塗料の選択自由度、歩留まり向上につながる。

2

自動車内装部材

コンソールボックス、ドアトリム、インパネなど

期待される効果

ユーザーが使用した日焼け止め剤の接触やアルコール消毒による、ABS樹脂のクラック発生、表面劣化を防止できる。

3

家電

洗濯機や冷蔵庫、テレビやパソコン、ゲーム機のディスプレー枠など

期待される効果

洗剤の接触やアルコール消毒による樹脂のクラック発生を防止できる。

4

住宅設備

浴室、洗面台、台所など

期待される効果

洗剤等が接触することによる樹脂のクラックの発生を防止できる。

関連情報・トピックス

技術・用途トピックス

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