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『サンヒビター』シリーズは、界面活性剤型の防錆剤です。
界面活性剤系の防錆剤は、分子中に疎水基(親油基)と極性基を有し、その極性基で金属素地に吸着し皮膜を形成すると同時に、疎水基で水や酸素を遮断することで、良好な防錆効果を発揮します。
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弊社は、水溶性防錆剤、油溶性防錆剤ともにラインナップしています。また、防錆性以外にも、耐腐敗性、耐塩水性、抗乳化性、低起泡性等の特長を有する製品を取り揃えており、用途や適用材質に応じてお選び頂けます。
防錆剤は水溶性、油溶性、気化性に分けることができ、水溶性、油溶性防錆剤はそのまま防錆油として塗布したり、溶液に添加して使用することができます。
水溶性防錆剤には無機系のものと有機系のものがあり、防錆皮膜の形成機構から、酸化皮膜型、沈殿皮膜型、吸着皮膜型の三つのタイプに分類されます。これらのうち、有機系の防錆剤は吸着皮膜を形成する界面活性剤を主体にしており、金属部品の一次防錆や、冷却水や水溶性金属加工油の防錆添加材として使用されています。
当社は、下表中の吸着被膜型(界面活性剤系)の防錆剤を取り揃えています。
分類 | 防錆皮膜 | 代表的な防錆剤 | 防錆皮膜の特長 |
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水溶性 防錆剤 | 酸化被膜型 | クロム酸塩 モリブデン酸塩 タングステン酸塩 亜硝酸塩 |
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沈殿被膜型 (水中イオン型) | 重合リン酸塩 亜鉛塩 |
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沈殿被膜型 (金属イオン型) | メルカプトベンゾチアゾール ベンゾトリアゾール |
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吸着被膜型 | アルカノールアミン 脂肪酸塩 アルキルアミンエチレンオキシド付加物 アルキルリン酸エステル塩 |
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油溶性防錆剤 (吸着被膜型) | 石油スルホネート ソルビタンエステル アルケニルコハク酸無水物 アルキルナフタレンスルホン酸塩 |
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気化性防錆剤 | ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、 ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト |
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水溶性防錆剤は、水で希釈して金属部品に塗布しその防錆に、または冷却水や水溶性金属加工油などに添加してこれと接触する金属部品の腐食抑制に使用されます。
鉄主体の金属部品の防錆
下記の防錆剤水希釈液浴のいずれかに20~120秒間浸せき後、送風乾燥する。
冷却水配管などの水と接触する金属の防錆
下記の防錆剤のいずれかを水に添加する。
水溶性金属加工油剤(切削油、圧延油、鍛造油など)の調製
下記の防錆剤のいずれかを金属加工油剤の調製時に配合する。
油溶性防錆剤は、潤滑油(エンジンオイル、タービン油、摺動面油、作動油、ギヤ油など)や燃料油(ガソリン、軽油など)および金属加工油(切削油、引き抜き油、圧延油、プレス油など)に添加され、これらが接触する金属部品の防錆に使用されます。
鉄主体の金属部品の防錆
下記の防錆剤鉱油溶液浴のいずれかに30~120秒間浸せき後、液切りする。
潤滑油(タービン油、摺動面油、作動油、ギヤ油など)の調製
下記の防錆剤のいずれかを潤滑油の調製時に配合する。
金属加工油(切削油、引き抜き油、圧延油、プレス油など)の調製
下記の防錆剤を金属加工油の調製時に配合する。
※各用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。
商品名 | 主成分 | 特長 | 適用材質 | 用途例 |
---|---|---|---|---|
サンヒビター NO.50 | 非イオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼 | 金属加工油 |
サンヒビター OMA-10 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼 アルミ | 金属製品の 一時防錆 |
サンヒビター NO.2-1 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 アルミ 銅、黄銅 亜鉛 | 不凍液 |
サンヒビター 906 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼、銅 | 金属加工油 |
サンヒビター 5005 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼 | 洗浄液 (スプレー式) |
サンヒビター 5006 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄、鋼 銅、アルミ | 金属加工油 不凍液 |
商品名 | 主成分 | 特長 | 適用材質 | 用途例 |
---|---|---|---|---|
サンヒビター NO.2-1 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 アルミ 銅、黄銅 亜鉛 | 不凍液 |
サンヒビター 102 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼 アルミ | 金属加工油 作動油 |
サンヒビター 150 | アニオン界面活性剤 |
| 鋳鉄 鋼 アルミ | 潤滑油 燃料油 |
イオネット S-80S イオネット S-85 | ソルビタンエステル |
| 鋳鉄 鋼 アルミ | 金属加工油 防錆油 |
DSA、 PDSA-DA | アルケニルコハク酸無水物 |
| 鋳鉄 鋼 アルミ | 金属加工油 潤滑油、作動油 燃料油、防錆油 |
商品名 | 外観(20℃) | pH (1wt%水溶液) | 酸価 | 比重 (15℃/4℃) | 動粘度 ㎜2/s (40℃) | 溶解性 |
---|---|---|---|---|---|---|
サンヒビター NO.50 | 無色液状 | 11.0 | ー | 1.036 | 144 | 水に透明溶解 |
サンヒビター OMA-10 | 黒褐色液状 | 9.0 | ー | 1.088 | 278 | 水に微濁溶解 |
サンヒビター NO.2-1 | 褐色ペースト状 | 7.0 | ー | ー | ー | 水に白濁分散 油に透明溶解 |
サンヒビター 102 | 淡黄色液状 | ー | 195 | 0.930 | 1.467 | 油に透明溶解 |
サンヒビター 150 | 淡褐色液状 | ー | 159 | 0.965 | 1.250 | 油に透明溶解 |
水溶性『サンヒビター』シリーズは、下表のとおり、鉄に対して優れた防錆性能を示します。
防錆剤 | 鉄に対する防錆性能 | ||
---|---|---|---|
品名 | 使用濃度 質量% | 試験片を試料に 20℃、30日間浸せき | 試験片を試料に浸せき後 取り出し、40℃、80%R.H.で 20日間静置 |
サンヒビター NO.50 | 0.2 | A級 | A級~B級 |
0.5 | ー | A級~B級 | |
サンヒビター OMA-10 | 0.2 | A級 | A級 |
0.5 | ー | A級 | |
サンヒビター NO.2-1 | 0.2 | A級 | A級~B級 |
0.5 | ー | A級 | |
なし(水道水) | E級 | E級 |
〔試験方法〕
試料
上表記載の濃度の防錆剤を添加した水道水(京都市)を試料とした。
鉄に対する防錆性能測定方法
試験片を下記の①②の方法で処理した後、JIS K 2246の5.4「さび発生度測定方法」に従って下記の基準で判定した。
①常温の試料に30日間浸せき
②試料に1分間浸せき後取り出し恒温恒湿機(40°C、80%R.H.)中で20日間静置
<試験片>
JIS K 2246「さび止め油」に規定の試験片(JIS G 3141に規定のSPCC-SB、寸法:1.3×80×60mm)を研磨洗浄して用いた。
<防錆性能判定基準>
A級-さび発生度0%
B級-さび発生度1~10%
C級-さび発生度11~25%
D級-さび発生度26~50%
E級-さび発生度51~100%
防錆剤 | 各非鉄金属の表面変化と質量変化 mg/cm2 | ||||
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品名 | 使用濃度 質量% | 銅 | 黄銅 | アルミニウム | ハンダ |
サンヒビター NO.50 | 0.2 | 変化なし -0.063 | 変化なし +0.001 | 黒く変色 -0.069 | 変化なし -0.034 |
サンヒビター OMA-10 | 0.2 | 変化なし +0.005 | 変化なし -0.009 | 変化なし -0.003 | わずかに変色 -0.035 |
サンヒビター NO.2-1 | 0.2 | 変化なし +0.003 | 変化なし -0.005 | 変化なし -0.002 | 変化なし -0.028 |
なし(水道水) | わずかに変色 0 | 少し黒く変色 -0.206 | わずかに変色 0 | 変化なし -0.086 |
〔試験方法〕
試料
上表記載の濃度の防錆剤を添加した水道水(京都市)を試料とした。
非鉄金属に対する防錆性能測定方法
試験片を試料に20°Cで10日間浸せき後取り出し、水分を拭き取って外観を観察した。次いで、JIS K 2234「不凍液の金属腐食性試験」に従って、試験片の洗浄および質量測定を行い、下式から質量変化を求めた。
<試験片>
JIS K 2234「不凍液の金属腐食性試験」に規定の下記試験片(直径6.5mm穴)を研磨洗浄して用いた。
銅:JIS H 3100に規定するC1100P(寸法:1.6×50×25mm)
黄銅:JIS H 3100に規定するC2680P(寸法:1.6×50×25mm)
アルミニウム:JIS H 5202に規定するAC2A-F(寸法:3.0×50×25mm)
ハンダ:JIS Z 3282に規定するH30A (寸法:3.0×50×25mm)
<質量変化の算出式>
質量変化 mg/cm2= (試験前の試験片質量-試験後の試験片質量)/試験片の全表面積
油溶性『サンヒビター』シリーズは、下表のとおり、鉄や銅に対して優れた防錆性能を示します。
防錆剤 | 鉄に対する防錆性能 | 銅に対する防錆性能 | |
---|---|---|---|
品名 | 使用濃度 質量% | 試験片を試料に浸せき 後取り出し、50℃、 95%R.H.で5日間静置 | 銅板腐食試験 (JIS K2513) |
サンヒビター 102 | 1.0 | A級 | 1 |
3.0 | A級 | ー | |
サンヒビター 150 | 1.0 | A級 | 1 |
3.0 | A級 | ー | |
なし (スピンドル油) | E級 | 1 |
〔試験方法〕
試料
上表記載の濃度の防錆剤を添加したJIS 1号スピンドル油を試料とした。
鉄に対する防錆性能測定方法
試験片を試料に1分間浸せきして取り出し、恒温恒湿機(50°C、95%R.H.)で5日間静置後、JIS K 2246の5.4「さび発生度測定方法」に従って下記の基準で判定した。
<試験片>
JIS K 2246「さび止め油」に規定の試験片(JIS G 3141に規定のSPCC-SB、寸法:1.3×80×60mm)を研磨洗浄して用いた。
<防錆性能判定基準>
上表と同じ。
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銅に対する防錆性能測定方法
JIS K 2513「石油製品-銅板腐食試験」に従って試験した。
<試験片>
JIS H 3100のC1100P(寸法:1.5×75×12.5mm)
<石油製品-銅板腐食試験判定基準>
1:わずかに変色
2:中程度に変色
3:濃く変色
4:腐食
油溶性『サンヒビター』シリーズは、下表のとおり、海水が混入した鉱油中でも鉄に対して優れた防錆性能を示します。
また、抗乳化性にも優れています。
防錆剤 | 潤滑油-さび止め性能 JIS K 2510(海水) | 抗乳化性 JIS K 2520 | |
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品名 | 使用濃度 質量% | ||
サンヒビター 102 | 0.06 | さびなし | 40-40-0 (10) |
サンヒビター 150 | 0.06 | さびなし | 37-40-3 (10) |
なし (#90 タービン油) | さびあり | 40-40-0 (10) |
〔試験方法〕
試料
上表記載の濃度の防錆剤を添加した#90タービン油を試料とした。
潤滑油-さび止め性能の測定方法
JIS K 2510「潤滑油-さび止め性能試験」の人工海水を用いる方法に従って測定した。
なお、測定条件は規定どおり(かくはん下、60°Cで24時間浸せき)。
<試験片>
JIS G 3108のSGD 3M(寸法:直径13mm、長さ81mm)
抗乳化性の測定方法
JIS K 2520「石油製品-潤滑油-抗乳化性試験」に従って測定した。
なお、試験条件は規定どおり(試料40mLと純水40mLを混合し、54°C、1500rpmで5分間乳化)。
注意事項
ここに記載された情報は、弊社の最善の知見に基づくものですが、いかなる明示または黙示の保証をするものではありません。
①すべての化学品には未知の有害性がありうるため、取り扱いには細心の注意が必要です。本品の適性に関する決定は使用者の責任において行ってください。
②この情報は、細心の注意を払って行った試験に基づくものですが、実際の現場結果を保証するものではありません。個々の使用に対する適切な使用条件や商品の適用は、使用者の責任においてご判断ください。
③この情報は、いかなる特許の推薦やその使用を保証するものではありません。