マルチメタル対応のアミン系吸着被膜型防錆剤(低泡性)『サンヒビター NO.70』

三洋化成の界面活性剤型防錆剤
『サンヒビター NO.70』はここがすごい

1

良好な防錆性、乳化性および低泡性

・『サンヒビター NO.70』」は、既存品『サンヒビター NO.50』の疎水性を向上させたアミン系吸着被膜型防錆剤です。​
・『サンヒビター NO.70』は、既存水溶性防錆剤と比較して疎水性が高いため、高い金属への吸着性を有し、防錆性と低泡性の特長を併せ持ちます。​

*1: 単体ではエマルションとしてご使用可能ですが、アルキル脂肪酸等の任意の酸にて中和することで透明均一水溶液に調整可能です。
*2: pHを8.5に調整したデータ
用途分類 特に優れた錆止め性を示す金属
商品名 水溶性 油溶性 黄銅 ハンダ アルミ *2
サンヒビター NO.70 (新製品) 〇*1
サンヒビター NO.50 (既存品)
DSA

2

水溶性、油溶性のいずれの用途にも使用可能

・水溶性、油溶性のいずれの用途にも使用可能であり、良好な​防錆性、乳化性および低泡性の特長を併せ持ちます。​
・『サンヒビター NO.70』は、既存の油溶性防錆剤と比較して親水性を持つため、容易に洗浄、脱脂、乳化が可能です。

水溶性防錆剤

油溶性防錆剤

防錆剤の分類・用途

各種防錆剤の分類と特長

防錆剤は水溶性、油溶性、気化性に分けることができ、水溶性、油溶性防錆剤はそのまま防錆油として塗布したり、溶液に添加して使用することができます。

水溶性防錆剤には無機系のものと有機系のものがあり、防錆皮膜の形成機構から、酸化皮膜型、沈殿皮膜型、吸着皮膜型の三つのタイプに分類されます。これらのうち、有機系の防錆剤は吸着皮膜を形成する界面活性剤を主体にしており、金属部品の一次防錆や、冷却水や水溶性金属加工油の防錆添加材として使用されています。

当社は、吸着被膜型(界面活性剤系)の防錆剤を取り揃えています。

分類 防錆皮膜 代表的な防錆剤 防錆皮膜の特長
水溶性
防錆剤
酸化被膜型 クロム酸塩
モリブデン酸塩
タングステン酸塩
亜硝酸塩
  • ち密で薄い膜(30~200Å)の形成
  • 素地金属との密着性大
  • 大気との接触面での防錆性は低い
沈殿被膜型
(水中イオン型)
重合リン酸塩
亜鉛塩
  • 多孔質で薄い膜を形成
  • 素地金属との密着性は酸化皮膜型より弱い
  • 大気との接触面での防錆性は低い
沈殿被膜型
(金属イオン型)
メルカプトベンゾチアゾール
ベンゾトリアゾール
  • 比較的緻密で薄い膜を形成
吸着被膜型 アルカノールアミン
脂肪酸塩
アルキルアミンエチレンオキシド付加物
アルキルリン酸エステル塩
  • 酸液、水溶液中で良好な皮膜を形成​
  • 大気中での防錆性が良好​
  • 非洗浄面では吸着性不良
油溶性防錆剤
(吸着被膜型)
石油スルホネート
ソルビタンエステル

アルケニルコハク酸無水物
アルキルナフタレンスルホン酸塩
  • 鉱物油中で良好な皮膜を形成
  • 大気中で長期の防錆性がある
気化性防錆剤 ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、
ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト
  • 気化した防錆剤が大気中に充満
  • 金属表面に極めて薄い皮膜を形成

水溶性防錆剤の用途および『サンヒビター NO.70』の使用例

水溶性防錆剤は、水で希釈して金属部品に塗布しその防錆に、または冷却水や水溶性金属加工油などに添加してこれと接触する金属部品の腐食抑制に使用されます。『サンヒビター NO.70』は、水溶性、油溶性のいずれの用途にも使用可能です。

鉄主体の金属部品の防錆
下記の防錆剤水希釈液浴のいずれかに20~120秒間浸せき後、送風乾燥する。

  • サンヒビター NO.70: 0.50~1.0 質量%水希釈液(浴温度20~80°C)

冷却水配管などの水と接触する金属の防錆
下記の防錆剤のいずれかを水に添加する。

  • サンヒビター NO.70: 0.5 質量%

水溶性金属加工油剤(切削油、圧延油、鍛造油など)の調製
下記の防錆剤のいずれかを金属加工油剤の調製時に配合する。

  • サンヒビター NO.70::5~10 質量%

油溶性防錆剤の用途および『サンヒビター NO.70』の使用例

油溶性防錆剤は、潤滑油(エンジンオイル、タービン油、摺動面油、作動油、ギヤ油など)や燃料油(ガソリン、軽油など)および金属加工油(切削油、引き抜き油、圧延油、プレス油など)に添加され、これらが接触する金属部品の防錆に使用されます。『サンヒビター NO.70』は、水溶性、油溶性のいずれの用途にも使用可能です。

鉄主体の金属部品の防錆
下記の防錆剤鉱油溶液浴のいずれかに30~120秒間浸せき後、液切りする。

潤滑油(タービン油、摺動面油、作動油、ギヤ油など)の調製
下記の防錆剤のいずれかを潤滑油の調製時に配合する。

金属加工油(切削油、引き抜き油、圧延油、プレス油など)の調製
下記の防錆剤を金属加工油の調製時に配合する。

*各用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

『サンヒビター NO.70』の性状

記載は代表値です。
サンヒビター NO.70
(新製品)
サンヒビター NO.50
(既存品)
DSA
(既存品)
外観 淡黄色液状 淡黄色液状 黄色液状
色数 ハーゼン 10 10
ガードナー 5
pH(1質量%水溶液) 11.0 11.0
動粘度 mm2/s (40℃) 320 150 120
溶解性(25℃) 白濁分散* 均一溶解 不溶
鉱物油 均一溶解 不溶 均一溶解
引火点(℃) 150 142 160
消防法 第4類第3石油類 第4類第3石油類 第4類第3石油類

*アルキル脂肪酸等の任意の酸にて中和することで、透明均一水溶液に調整可能です。

例)

サンヒビターNO.70 5wt%水溶液

サンヒビターNO.70』 2.5wt%/カプリル酸2.5 wt%水溶液

『サンヒビター NO.70』の性能データ

『サンヒビター NO.70』の防錆性

『サンヒビター NO.70』は、水溶性、油溶性のどちらの防錆用途にでも使用可能で、鉄、非鉄、各種合金まで幅広い金属に高い防錆効果を発揮します。

水溶性防錆効果

*pHを8.5にした際のデータ(pHの調整が必要です)
品名 各種金属に対するさび止め性能
ハンダ 黄銅 アルミ*
サンヒビター NO.70 (新製品)
サンヒビター NO.50 (既存品)
防錆剤なし(京都市水) × × × × ×

[評価方法]
試料 :0.2wt%濃度のさび止め剤を添加した水溶液を試料とした。
測定方法: JIS K 2241記載の切削液(室温、半浸漬法)に準じ、2日間(48hr)静置後、判定した。

油溶性防錆効果

*pHを8.5にした際のデータ(pHの調整が必要です)
品名 各種金属に対するさび止め性能
ハンダ 黄銅 アルミ*
サンヒビター NO.70 (新製品)
DSA 〇~△
防錆剤なし(スピンドル油) × × × × ×

[評価方法]
試料 :0.2wt%濃度のさび止め剤を添加したスピンドル油を試料とした。
測定方法: JIS K 2246記載の湿潤試験(50℃、95%R.H.)に準じ、10日間(240hr)静置後、判定した。

『サンヒビター NO.70』の抑泡性

「サンヒビター NO.70」は、既存の水溶性防錆剤よりも疎水性なので、抑泡性を示します。

[評価方法]
試料:各防錆基材の1質量%水溶液を試料とした。
測定方法:100mL共栓付きメスシリンダーに20mLの試験液を秤量し、1分間振とう後の起泡性及び、静置後の泡切れ性(泡の体積)を観測した。

『サンヒビター NO.70』の乳化性

サンヒビター NO.70
(新製品)
サンヒビター NO.50
(既存品)
写真
判定 8 3
乳化力

<乳化力の判定基準>
10:分離なし、完全乳化
9:上層数mm分離、全体はほぼ乳化
8:上層約10mm分離、全体はほぼ乳化
7:上層約15mm分離、全体はほぼ乳化
6:完全分離、界面は不鮮明、上層下層とも乳白色
5:完全分離、界面は鮮明、上層下層とも乳白色
4:完全分離、上層は乳白色、下層に透明感
3:完全分離、上層は乳白色、下層やや透明
2:完全分離、上層は乳白色、下層ほぼ透明
1:完全分離、上層、下層ともほぼ透明

[評価方法]
試料 :①鉱物油(パラフィン系)4wt%、②各防錆基材1wt%、③イオン交換水95wt%の混合液
測定方法:試料①と②を100mL共栓付きメスシリンダーにとって均一に混合後、③を加えて激しく振とう乳化させた後、25℃で1時間静置後、右記の判定基準で乳化力を判定した。

『サンヒビター NO.70』の耐腐敗性

評価結果
サンヒビター NO.70 (新製品)
サンヒビター NO.50 (既存品)
トリエタノールアミン ×

[評価方法]
測定方法:
200mLのマヨネーズ瓶に各試料を0.5wt%に希釈した試験液100mLを入れ、その中に鋳鉄切り粉3g、トウモロコシ粉(生とうもろこしを乾燥粉砕したもの)2g、腐敗液(細菌数106個/mL以上)1mLを加え、37.5℃の孵卵器に放置して経日で試験液のpH変化および一般細菌数(JIS K0102)を測定した。

評価基準(20日後):
〇:pH低下1未満
△:pH低下1以上3未満
×:pH低下3以上

『サンヒビター NO.70』の除去性

サンヒビター NO.70 DSA(既存品) ベンゾトリアゾール
中性洗浄液 ×
アルカリ洗浄液 ×
酸性洗浄液 × ×
× ×

[評価方法]
銅ウエハを防錆剤0.5%水溶液で浸漬後、乾燥した試験片を、各洗浄剤で洗浄(浸漬揺動洗浄、流水リンス)し、洗浄後の銅表面を微細欠陥可視化検査装置(Micro-Max;VMX-4100Napier)で観察、洗浄前からの除去性を判定した。
〇:完全除去
×:洗浄残りあり

『サンヒビター NO.70』の溶解性

*アルキル脂肪酸等の任意の酸にて中和することで、透明均一水溶液に調整可能です。
サンヒビター NO.70 DSA(既存品) ベンゾトリアゾール
鉱物油 ×
石油系溶剤 △~×
エステル 〇~△
アルコール 〇~△
PAG ×
PAO 〇~△ * △~× ×
〇~△ * × ×

[評価方法]
各種溶剤に50wt%添加し、外観を判断。
〇:完全溶解
△:一部可溶
×:不溶

使用上の注意

  • 用水の水質や基油などの品質によって、防錆性能や起泡性および抗乳化性などは変化します。使用条件でこれら性能をあらかじめ確認し問題のない範囲で使用してください。
  • 本品を取り扱うにあたっては、本品および副資材(化学品)の「安全データシート」(SDS)を事前に必ずお読みください。なお、SDSはこちらからも入手できます。 https://www.sanyo-chemical.co.jp/products/sds/

関連情報・トピックス

関連製品

ポリエーテル製品
  • 汎用ポリアルキレングリコール系潤滑剤『ニューポールLB、50HB』紹介ページはこちら
  • 水溶性金属加工油基剤『ユーティリオール』製品紹介ページはこちら
  • アリル基含有ポリエーテル『サニコール』製品紹介ページはこちら
  • ポリエチレングリコール『PEG』製品紹介ページはこちら

トピックス

  • 防錆剤

防錆剤入門


注意事項
ここに記載された情報は、弊社の最善の知見に基づくものですが、いかなる明示または黙示の保証をするものではありません。
①すべての化学品には未知の有害性がありうるため、取り扱いには細心の注意が必要です。本品の適性に関する決定は使用者の責任において行ってください。
②この情報は、細心の注意を払って行った試験に基づくものですが、実際の現場結果を保証するものではありません。個々の使用に対する適切な使用条件や商品の適用は、使用者の責任においてご判断ください。
③この情報は、いかなる特許の推薦やその使用を保証するものではありません。