ワックスはロウ状の物質を表す総称であり、その定義は「(1)常温で固体または半固体のもので、融点が40°C以上あり、(2)加熱すると分解することなく溶けて、粘度の低いもの」です。
ワックスはさまざまな原料から構成され、大別すると天然ワックス、半合成ワックス、合成ワックスに分類されます。
ワックスの用途は多岐にわたり、化粧品、印刷インキ、化学紙、タイヤ、フローリング、接着剤などの多くの工業製品、日用品の原料や添加剤として使用されています。
なかでも合成ワックスは、組成制御が比較的容易で溶融粘度などの物性をコントロールしやすく、多様なニーズに対応できることから、塗料、インキ、接着剤などの工業用原料などに多く使用されています。
合成ワックスは、その製造方法から、重合型ワックスと熱分解型ワックスに分けることができ、重合型ワックスはエチレンモノマーの単独重合物やエチレンとほかの極性モノマーを共重合した変性タイプの低分子量ポリエチレンがあります。また、熱分解型ワックスは、高分子量のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂をラジカルにより分解した低分子量化物です(下表)。
原料 | 製造プロセス | 合成ワックス |
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エチレン | 重合 | 低密度ポリエチレンワックス |
エチレン | 重合 | 高密度ポリエチレンワックス |
エチレン | 変性 | 酸化型ポリエチレンワックス |
エチレン | 変性 | 共重合ポリエチレンワックス(酸モノマー、特殊モノマー) |
原料 | 製造プロセス | 合成ワックス |
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ポリエチレン | 熱分解 | 低密度ポリエチレン熱分解物(ポリエチレンワックス) |
ポリプロピレン | 熱分解 | ポリプロピレン熱分解物(ポリプロピレンワックス) |
熱分解型ワックス (当社品) | 重合型ワックス (高圧) | 重合型ワックス (低圧) | |
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分子量分布 Mw/Mn | 広い | 狭い | 狭い |
立体構造 | 長鎖分岐含有 | 短鎖分岐含有 (通常メチル基) | 長鎖分岐含有 |
当社は、日本国内で初めて合成ワックスの工業化に成功した低分子量ポリエチレン『サンワックス』シリーズや、その技術を応用した低分子量ポリプロピレン『ビスコール』シリーズを製造・販売しております。
また、熱分解の工業プロセスは重合型の工業プロセスと比較して少量生産にも適しており、さまざまなニーズに細かく対応することができます。
品名 | サンワックス 161‐P | サンワックス 131-P | サンワックス 151-P | サンワックス 171-P |
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特徴 | 高分子量 | 中~高 分子量 | 小~低 分子量 | 低分子量 |
外観 | 白色粉末 | 白色粉末 | 白色粉末 | 白色粉末 |
色数 | 30 | 30 | 30 | 30 |
融点(℃) | 103 | 102 | 101 | 100 |
溶融粘度 (mPa・s) | 4300 | 1000 | 290 | 180 |
分子量 (Mw) | 27000 | 20000 | 13000 | 10000 |
主な用途 | 顔料分散剤、フィラー分散剤、流動性向上剤 |
品名 | ビスコール 330‐P | ビスコール 440-P | ビスコール 550-P | ビスコール 660-P | ビスコール LM-500 (開発品) | ビスコール LM-600 (開発品) |
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特徴 | 高分子量 | 中~高 分子量 | 小~低 分子量 | 低分子量 | 高分子量 低融点 | 高分子量 低融点 |
外観 | 白色粉末 | 白色粉末 | 白色粉末 | 白色粉末 | 淡黄色粉末 | 淡黄色粉末 |
色数 | 200 | 200 | 200 | 1 | 1 | 1 |
融点(℃) | 145 | 144 | 139 | 136 | 125 | 119 |
溶融粘度 (mPa・s) | 4000 | 1800 | 200 | 70 | 1400 | 100 |
分子量 (Mw) | 40000 | 27000 | 13000 | 10000 | 30000 | 9000 |
主な用途 | 顔料分散剤、フィラー分散剤、流動性向上剤 |
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