永久帯電防止剤(低抵抗) 『ぺレクトロン』

樹脂表面の帯電圧コントロールにより
精密電子部品等の静電気トラブルを搬送材(トレー等)側から根本解決

永久帯電防止剤紹介動画

三洋化成の永久帯電防止剤
『ぺレクトロン』はここがすごい

ぺレクトロンは帯電防止性を有するポリマー材料であり、添加により電子部品と搬送材(トレー等)との間の剥離帯電によるトラブルを搬送材側から解決します。

1

帯電圧コントロール

添加量により帯電圧を自在にコントロールでき、搬送トレー等の樹脂成形品の飽和帯電圧を50V以下まで下げることが可能です。


JIS L1094に準拠し、空気イオンによりサンプル(PP樹脂+ペレクトロン)に​+10,000Vの電圧を印加した場合の飽和帯電圧。

2

低発塵性

低発塵、低汚染性を実現可能なためパーティクル管理が厳しい、クリーンな用途での静電気対策に最適な帯電防止剤です。

3

機械物性の保持

帯電防止効果を付与しながら、添加した樹脂トレーの硬さ、耐熱性への影響を最小限に抑えます​。

ぺレクトロン添加の想定ベネフィット:電子部品製造ラインにおけるイオナイザへの依存度の低減

220401ぺレクトロン添加の想定ベネフィットの下画像差し替え

なぜ精密電気部品用搬送トレーにおいて、
永久帯電防止剤が重要なのか?

精密電気部品の製造・搬送時の静電気対策の重要性

CMOSイメージセンサをはじめとしたカメラモジュール市場は、スマートフォン向けのみにとどまらず、自動運転技術におけるキーデバイスとして、今後も大きな成長が予想されています。

これらカメラモジュール等の精密電子部品は、搬送トレーによって運搬され、組み立て時にロボットハンドによって吸着されますが、この際、搬送トレーと部品の剥離帯電が発生します。

半導体素子等の精密電子部品にその破壊電圧に相当する静電気がかかってしまうとデバイスの破壊を招く恐れがあります。
カメラモジュールの精密化、高付加価値化が進んでおり、静電気による破壊を防ぐため、デバイス種によっては、​搬送材の帯電圧を50V以下に抑える必要があります。

静電気対策と課題

1)イオナイザによる静電気対策の課題

静電気対策としてイオナイザの適用が考えられますが、以下のような課題があります。

  • イオナイザを用いた除電は外部からイオンを当てて行われるため除電領域にムラが発生しやすい。
  • イオナイザは、外部からイオンを当てて行う性質上、デバイスとトレーの間の剥離帯電を瞬時に除電するのは得意と言えない。
  • ファン型イオナイザを使用した場合、ファンの軸からの発塵の影響が、特にクリーン度が要求される製造ラインでは無視できない

⇒発塵が発生しづらく、剥離帯電しても搬送材側に静電気を逃がすことが可能な、三洋化成の永久帯電防止剤『ペレクトロン』入りトレーのご使用をご検討下さい。

2)帯電防止剤使用時の課題

イオナイザのみに頼り過ぎずに、精密電子部品用搬送材の除電・帯電防止機能はトレー側に持たせるのが理想ですが、トレーの樹脂に使用する帯電防止剤の種類や使い方によっては、トレー自体が発塵源となったり、帯電防止効果が限定的となったりする恐れがあるため注意が必要です。

帯電防止剤選定における問題点
  • 導電性カーボン系材料の添加による帯電防止: カーボン粒子がトレーから脱離するによる発塵が無視できず、また除電領域にムラが発生しやすい。
  • 低分子帯電防止剤添加による帯電防止: 低分子型帯電防止剤は樹脂表面からブリードアウトしやすく、汚染の原因となったり、帯電防止効果が持続しづらい。

⇒ポリマー型の永久帯電防止剤を樹脂トレーに添加することにより上記の問題を発生させることなく帯電防止し、精密電子部品の静電気トラブルを解決することが可能です。

静電気対策比較表

永久帯電防止剤
ペレクトロン​

イオナイザー​
(直流式)
イオナイザー​
(交流式)
除電機構​ 樹脂トレーに導電性付与​
(帯電の防止)
空気イオンに​
よる中和
空気イオンに​
よる中和​
除電速度​ ○~◎​ ○~△
イオンバランス​ △​
メンテナンス性​ △​

ペレクトロンはトレー自体に導電性を付与するため、高い除電速度を持ちながら、​逆帯電することもなく、イオンバランスが悪化しません。​
また装置の設定やメンテナンスも必要ありません。技術サービスもしっかり対応致します。​

永久帯電防止剤ペレスタット・ぺレクトロンシリーズとカーボン系導電材の比較
永久帯電防止剤
ペレスタット・
ぺレクトロン
カーボン
ブラック
カーボン
ファイバー
導電機構 イオン伝導 電子伝導 電子伝導
表面固有抵抗値
(Ω/sq.)
~109 ~106 ~106
抵抗値の均一性 ×
低発塵性 ×
剛性
(曲げ弾性率)
耐衝撃性 ×
色選択性 自由 黒のみ 黒のみ

ペレクトロンはカーボン系導電材と比較して、樹脂トレーの表面に均一に帯電防止効果を付与することが可能であり、発塵源となりにくい点、樹脂トレーの耐衝撃性や色選択性を損なわない点において優位と考えられます。

永久帯電防止剤(低抵抗)ぺレクトロンシリーズ
6つの特長

三洋化成の永久帯電防止剤(低抵抗)ぺレクトロンは以下の特長により、
搬送トレー側から静電気トラブルを解決いたします。

1

速い除電速度

ペレクトロンを添加した樹脂トレー表面は低抵抗となり、帯電しても速やかに除電できます。

  • 図解はチャージプレートモニター(TREK Model 158,トレックジャパン㈱製)を使用し、​サンプルを1,000Vまで強制帯電させた後の帯電圧の減衰挙動

2

良分散性を実現するポリマー構造

添加により帯電防止性を付与するとともに樹脂・プラスチック製トレーの機械特性や成形性をほとんど低下させません。

3

カーボン系導電材に対する優位性

カーボン系導電材に対する優位性

均質な帯電防止性、低発塵性、耐衝撃性、色選択性においてカーボン系導電材に対して優位性があります。

4

低い湿度依存性

ぺレクトロンを添加した樹脂トレー等の成形品は、低湿度下においても耐電圧、除電速度が大きく悪化しません。

5

添加量ブレによる導電性能ブレが小さい

添加剤単体の導電性を調整しているため、添加量のアローワンスが広く、帯電防止剤を添加した樹脂トレーの品質ブレを抑制できます。

6

技術サポート

射出成形、押し出し成形等、各種樹脂成形方法に対抗可能です。 
豊富な実績に基づいた技術サポートが可能です。 

永久帯電防止剤(低抵抗)ぺレクトロン主要ラインナップ

三洋化成の永久帯電防止剤(低抵抗)ぺレクトロンシリーズには、ポリオレフィン樹脂(PP、PE)向け、​およびABS樹脂等向けのグレードがございます。

*1 : 帯電防止剤単独の射出成形板を作成後、超絶縁計で測定 (23ºC, 50% R.H.)
No.1​
ペレクトロン PVL​
No.2​
ペレクトロン AS​
外観​ 淡黄色ペレット​ 淡黄色ペレット
融点 (℃)​ 135​ 195​
MFR   (g/10min)​ 15​
(190ºC, 21.18 N)​
30​
(215ºC, 21.18 N)​
表面固有抵抗値*1(Ω/sq.)​ 3×106​ 4×106​
対象樹脂​ PP、PE等​ ABS、PC/ABS、​
PC、Nylon等​
特長 低抵抗タイプ
(押出成形、射出成形等に対応)
低抵抗タイプ
低イオン溶出
(押出成形、射出成形等に対応:
スチレン系樹脂との相溶性良好)

PP樹脂/ぺレクトロン PVL(射出成形)
添加量と飽和帯電圧、表面固有抵抗値の関係

ABS樹脂/ぺレクトロン AS(射出成形)
添加量と飽和帯電圧、表面固有抵抗値の関係

永久帯電防止剤(低抵抗)ぺレクトロンの採用実績

各種電子部品等の搬送材(トレー、キャリアテープ、包装材)に採用実績があります。

  • PP樹脂製真空成形液晶モジュール搬送トレー
  • 透明ABS樹脂製エンボスキャリアテープ
  • PP樹脂製 ICチップ搬送トレー
  • LDPE樹脂製電子部品包装材



※各用途における適性および安全性は、使用者の責任においてご判断ください。

使用上の注意事項

本品を取り扱うにあたっては、本品および副資材(化学品)の「安全データシート」(SDS)を事前に必ずお読みください。なお、SDSはこちらからも入手できます。 https://www.sanyo-chemical.co.jp/products/sds/

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②この情報は、細心の注意を払って行った試験に基づくものですが、実際の現場結果を保証するものではありません。個々の使用に対する適切な使用条件や商品の適用は、使用者の責任においてご判断ください。
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