超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂『サンプレン H-600』

超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂
『サンプレン H-600』はここがすごい

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透湿防水性の表皮層を形成するために使用されるポリウレタン樹脂溶液

『サンプレン H-600』は、レインウエアーなどの素材である透湿防水布に、透湿防水性の表皮層を形成して雨水の浸透やむれを防止するために使用される合成皮革表皮層用ポリウレタン樹脂溶液です(乾式転写方式用)。

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防水性を維持しながら薄膜化が可能

弊社が開発した『サンプレンH-600』は、従来のポリウレタン樹脂溶液では得られない、切断時引張強さ約 90MPa の強靱な乾式膜を形成します。

『サンプレンH-600』は、防水性を維持しながら薄膜化できるため、柔軟でごわつかない風合いと優れた透湿性を可能とし、快適性を向上できます。さらには、使用する樹脂量を低減できるため軽量化やコストダウンにもつながります。

『サンプレン H-600』は、透湿防水性の表皮層を形成するために使用されるポリウレタン樹脂溶液です。

外観 淡黄色液状
粘度 約 70,000 mPa・s(20℃)
蒸発残分 約 20 質量%
溶 剤 ジメチルホルムアミド

『サンプレン H-600』に関する受賞例
一般社団法人近畿化学協会 2018年度  化学技術賞「超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂『サンプレン H-600』の開発」

化学に関する研究・技術で、工業的・社会的・学術的価値が明らかになったものについて顕著な業績と認められたものを表彰するものです。『サンプレン H-600』の開発において、その組成設計だけでなく、塗工液の低粘度化やその経時安定化、高度な反応制御による超高分子量化の実現など、製造技術も確立し、工業化を実現した点が高く評価されての受賞となりました。

透湿防水素材について

透湿防水膜は、水滴を防ぎながら水蒸気だけを通す通り道を持っています。その種類は、無数の小さな穴が開いている「微多孔膜タイプ」と、穴のない「無孔膜タイプ」の大きく二つに分かれており、それぞれが、その特徴を活かせる製品に使用されます。

「微多孔膜タイプ」の透湿防水膜

「微多孔膜タイプ」は、水蒸気が微細な穴を通って発散する仕組みです。穴が開いているため水蒸気は通しやすいのですが、防水性が落ちるという欠点があります。そのため防水効果を得るには、PTFEなどの撥水素材を用いて、ある程度の厚みを持たせる必要があり、レインウェアなどがゴワゴワする要因となっています。 

「無多孔膜タイプ」の透湿防水膜

「無孔膜タイプ」は、膜の中に水となじむ成分があり、それを介して水蒸気が湿度の高い内部から湿度の低い外部に抜けていく仕組みです(水蒸気が素材に染み込み、発散していくイメージです)。そのため、親水性成分があり、柔軟で強度を出しやすいポリウレタンなどが使用されています。 穴が開いていない分、防水性に優れていますが、膜が厚いと透湿性が悪くなる弱点があります。ただし、強度を高めることができれば、素材を薄くすることができ、透湿性もさらに高めることが可能になります。  

『サンプレン H-600』は「無多孔膜タイプ」の透湿防水膜に使用されるポリウレタン材料です。

図 透湿防水布の構造例

図 基材にポリウレタンフィルムを貼り合わせた生地

超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂
『サンプレン H-600』用途例

透湿防水素材は、外部からの水は通さず、内部の水蒸気だけを外に逃がす機能性素材です。

透湿防水素材の主な用途例

・レインウェア
・ゴルフウェア
・スキー・スノーボードウェアなど

超薄膜型透湿防水素材用ウレタン樹脂
『サンプレン H-600』の性能

『サンプレン H-600』の乾式膜での引張特性値、水膨潤率、吸放湿性を以下に示します。

乾式膜の引張特性値および水膨潤率

『サンプレン H-600』の乾式膜での引張特性値および水膨潤率を下表に示します。

乾式膜の引張特性値および水膨潤率
項目 測定値
切断時引張強さ MPa 88
切断時伸び % 570
100%応力 MPa 5.6
水膨潤率 % 18

〔試験方法〕

試 料
下記の塗工液をポリプロピレン(PP)フィルム上に厚み1mm(wet)に塗工し、20℃で1時間、70℃で2時間乾燥後、50℃で 48 時間養生した。次いで、得られた厚み約 200μm(dry)の乾式膜を PP フィルムから引きはがし試料とした。

<塗工液の配合処方> 配合比(質量比)
サンプレン H-600 : 100
メチルエチルケトン : 50

引張特性値の測定方法
JIS K 6251 に従い3号ダンベル試験片にて測定した。

水膨潤率の測定方法
試料を長さ 100mm、幅 10mm の短冊状に切り取り、20℃の水に 30 分間浸せき後の長さを測定した。次に、下式から水膨潤率を求めた。

水膨潤率%=100×(水浸せき後の試料の長さmm-100mm)÷100mm  

乾式膜の吸放湿性

『サンプレン H-600』の厚み約 200μm の乾式膜での吸放湿性を下図に示します。


図 乾式膜の吸放湿性

〔試験方法〕

試 料
乾式膜の引張特性値および水膨潤率測定時の試料と同一。

吸放湿性の測定方法
試料を 100mm 角の正方形に切り取り、25℃、60%R.H.の恒温恒湿槽中に3時間入れ基準となる質量を測定した。次いで、その試料を 25℃、90%R.H.の恒温恒湿槽中に1時間、25℃、60%R.H.の恒温恒湿槽中に1時間入れ、その間 15分毎に試料を取り出し吸放湿時の質量を測定した。

吸放湿量 %=100×(試料の基準となる質量-試料の吸放湿時質量)÷試料の基準となる質量

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『サンプレン H-600』の使用方法

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塗工液の調製

 標準的な配合処方を以下に示します。これらを均一に混合し塗工液を調製してください。

<表皮層塗工液の標準的な配合処方> 
配合比(質量比)
サンプレン H-600 :100
メチルエチルケトン : 50

希釈溶剤としてメチルエチルケトン以外に、トルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、もしくはこれらの混合溶剤などが使用可能です。

乾燥速度や接着層用ポリウレタン樹脂溶液との組み合わせによるスウェリング(表皮層が接着層塗工液中の溶剤で膨潤し、離型紙シボがうまく転写されない現象)および塗工液の粘度や塗工性などをあらかじめ確認し、最適な溶剤組成を選択してください。なお、必要に応じて顔料などを適宜配合してください。

 下表に『サンプレン H-600』の溶剤希釈性を示します。

溶剤名 溶剤希釈性
メチルエチルケトン
トルエン
酢酸エチル
ジメチルホルムアミド
イソプロピルアルコール ×
溶剤希釈性の判定基準
 ○:ほぼ、任意の割合で希釈可能。
 △:2倍(質量)程度まで希釈可能、2倍をこえると希釈溶液が白濁または分離する。
 ×:希釈不可能。

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塗工

・塗工液を、ドクターナイフやグラビアロールなどの塗工装置で、離型紙上に塗工してください。
・塗工量は、張り合わせる基布(織布、編布、不織布など)の種類や厚みなどによって異なりますが、標準的には 100~150g/m2です。

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乾燥

・ ゾーン乾燥機などの乾燥機で乾燥し、表皮層を形成させてください。乾燥温度は、基布の種類や塗工液の溶剤組成などによって異なりますが、一般的には100~120℃程度です。

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基布との張り合わせと養生

・あらかじめ配合しておいた接着層用塗工液を所定厚みで表皮層上に塗工し、所定条件で乾燥後、所定温度の熱ロールで基布と張り合わせ、十分に養生後、透湿防水布を離型紙からはがして巻き取ります。

 なお、接着層用塗工液の配合処方、その塗布厚みや乾燥条件、適切な熱ロール温度や養生条件は接着層用ポリウレタン樹脂によって異なります。接着層用ポリウレタン樹脂に応じて最適な条件を設定してください。

弊社では、接着層用ポリウレタン樹脂溶液として二液硬化型の『サンプレン H-120』を取りそろえています。



図 透湿防水布製造工程図(一例)


誤使用に対する注意事項

・他の樹脂を併用する場合は、事前に他の樹脂との相溶性を確認し、問題のない範囲で使用してください。
・塗工液の調製槽や塗工装置などの設備は、使用前に十分に乾燥してください。水分が残存していますと、塗工液中のポリウレタン樹脂が部分的に凝固・析出し、表面平滑性の悪い塗膜を形成します。


本品を取り扱うにあたっては、本品および副資材(化学品)の「安全データシート」(SDS)を事前に必ずお読みください。なお、SDSはこちらからも入手できます。 https://www.sanyo-chemical.co.jp/products/sds/

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