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界面活性剤入門2(乳化剤、可溶化、エマルション編)

界面活性剤とは

まず、界面とは異なった性質を持つ2つの物質の間に存在する境界面のことで、液体と固体、液体と液体、液体と気体の間に界面が存在します。​
この界面において洗浄や乳化、分散、湿潤、浸透などの機能を発揮して性能を高めるのが界面活性剤です。​

界面 = 異なった性質を持つ2つの物質の間に存在する境界面
液体と固体 : コップとコーヒー、機械と潤滑油​
液体と液体 : 水と油​
液体と気体 : 海水と大気、シャボン玉

界面活性剤の役割例
洗浄     ・・・  汚れを落とす​
乳化・分散  ・・・  混ざり合わないものを混ざりやすくする
湿潤・浸透  ・・・  濡れやすく、しみ込みやすくする

界面活性剤の基本構造

・界面活性剤は分子中に親油基(油になじむ部分)と​親水基(水になじむ部分)という異なる性質を持つ構造を有しています。
・界面活性剤には親水基の構造によって、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性系(アニオンとカチオンを両方有する)の4つに大別されます。



活性剤の種類 特徴 主な用途
ノニオン系界面活性剤
  • 親水性と疎水性のバランスを容易に調整できる
  • 乳化・可溶化力に優れる
  • 泡立ちが少ない
  • 温度の影響を受けやすいがpHの影響は受けにくい
  • 衣料用洗剤
  • 乳化・可溶化剤
  • 分散剤
  • 金属加工油
アニオン系界面活性剤
  • 乳化・分散性に優れる
  • 泡立ちが良い
  • 温度の影響を受けにくい
  • 衣料用洗剤
  • シャンプー
  • ボディソープ
カチオン系界面活性剤
  • 繊維などへ吸着する
  • 帯電防止効果がある
  • 殺菌性がある
  • ヘアリンス
  • 衣料用柔軟剤
  • 殺菌剤
両性界面活性剤
  • 皮膚に対してマイルド
  • 水への溶解性に優れる
  • 他の活性剤と相乗効果あり
  • シャンプー
  • ボディソープ
  • 台所洗剤

界面活性剤の機能紹介動画(※音声が出ます)

三洋化成では様々な機能を発揮する「界面活性剤」を取り扱っています。機能別に7本のショートムービー構成で紹介しています。

   
界面活性剤の機能紹介動画の構成
0:00 界面活性剤の機能紹介  
0:21 パート① 洗浄性(布の洗浄実験)  
1:05 パート② 浸透性(疎水性繊維への浸透性付与の実験、不織布への浸透性付与の実験)
2:15 パート③ 分散性(無機顔料の分散実験) 
3:00 パート④ 起泡性(起泡剤添加の実験) 
3:25 パート⑤ 消泡性(消泡剤添加の実験) 
3:44 パート⑥ 平滑性(シートベルトの平滑性テスト)
4:25 パート⑦ 抗菌性(抗菌剤添加の実験)

乳化物(エマルション)について

乳化とは

水と油を混ぜることを乳化するといい、乳化して得られたものを「乳化物」または「エマルション」と呼びます。

水と油は混ざらずに分離しますが、界面活性剤を添加することにより、界面活性剤が油もしくは水に付着して粒子を形成します。ミセル粒子が水中で安定する事により、乳化します。「乳化」の中でも、油が透明になって水に混じる現象を「可溶化」と呼びます。(「可溶化」している状態では、ミセル粒子の直径が光の波長より短いため透明に見えます)

乳化と分散の区別について

液体(水)中に他の液体が細かい粒子となって存在しているものを乳化物といい、固体が細かい粒子となって存在しているものを分散物(または懸濁物)といいます。 さらに通常は、この乳化物、分散物をつくるにあたって、水と混ぜるときの状態が液体か固体かどうかで、乳化物と分散物を区別します。

例えば、液状のモノマーを水中で細かい粒子として、これを重合することにより固状のポリマー粒子を形成させるような場合も「乳化」の仲間とみなします(乳化重合)。

乳化物(エマルション)の種類

図 w/o型エマルションとo/w型エマルションの概念図

油が水中に乳化:o/w型エマルション(水中油型エマルション)
天然物の例:牛乳、ゴムの木の樹液

水が油中に乳化:w/o型エマルション(油中水型エマルション)
天然物の例:原油 

人工物のエマルションの例
化粧乳液、化粧クリーム、除草剤、殺虫剤、カーワックス、フロアワックス、乳液型の入浴剤、水性塗料、水性インキ、水性接着剤、繊維用油剤、繊維加工用バインダー、繊維用仕上げ剤、紙加工用バインダー など

乳化・可溶化のメカニズム

なぜ水と油は混ざらないのか?

水と油が混ざりにくいのは、お互いに異なる性質を持っているからです。
分子が分極し、電気的にややプラスの電荷を帯びた部分と、ややマイナスの電荷を帯びた部分とを持っている。
分子が分極しておらず、極性をほとんど持っていない。
このように、水と油は、その性質が異なるので混ざらず、また、水と油は互いに接触している面で反発し合い、できるだけお互いの接触面積を小さくしようとする作用があります。

水と油をかき混ぜて、油を水中で小さい粒子として乳化させようとすると水と油の接触面積が大きくなってしまい、この状態は大変不安定であるため、かき混ぜるのをやめると、すぐに接触面積の小さい元の状態に戻ろうとし、水と油は2層に分離してしまいます。

水と油を混ぜる界面活性剤の働き

①水と油の界面の反発を抑える作用(表面張力を下げる)

そのままでは混ざらない水と油に界面活性剤を加えてやると、水と油の反発している接触面に界面活性剤がやってきて、水に親水基、油に親油基を配向させ、水と油の反発を防ぐ(表面張力を下げる)ことができます。

水滴をゆっくり滴らせると、しばらく落下したところで、水滴は球状になろうとします。
これは、水の表面に表面張力という収縮力があって、そのために水滴が最も表面積の小さな形をとろうとするからです。
下表に液体の表面張力の例を示します。

液体の表面張力の例
    
液体 液体に接触している気体 温度
表面張力
mN/m
空気 20 72.8
オクタン オクタン蒸気 20 21.7
ベンゼン 空気 20 28.9
界面活性剤水溶液
(ラウリル硫酸エステルナトリウム塩 0.1vol%)
空気 25 33.4

水と比較して、オクタンやベンゼンのような炭化水素は表面張力が小さくなります。
界面活性剤の親油基は、主に炭化水素基なので、界面活性剤が存在すると、水と空気および水と油の界面は、下図に示すようになり、表面張力が低下することが説明できます。

図 界面活性剤が界面張力を低下させる理由を示す概念図

特に左図(a)では、界面活性剤によって水と油の間の大きな反発はなくなり、界面張力(液体が他の液体や固体と接しているときの張力)は、ほとんど0mN/mまで下がります。

(油と水、または、空気と水は、界面活性剤が存在することにより直接接触しなくてもよくなります)

臨界ミセル濃度(critical micelle concentration: c.m.c.) について

図 界面活性剤水溶液の濃度と表面張力の関係

表面張力に関連して、界面活性剤を知るうえで重要な性質として、臨界ミセル濃度(critical micelle concentration: c.m.c.)が挙げられます。

水溶液中で界面活性剤は、空気との界面に配向するが、これには濃度に対する依存性があります。界面活性剤水溶液の濃度を徐々に濃くしながら、その表面張力を測定すると、界面活性剤の種類に関わらず、左図のように、表面張力は、最初急に下がり、その後は一定になる。

この様子を模式的に書くと、下図のようになります。



図 界面活性剤の濃度変化と界面活性剤の挙動の関係

界面活性剤の濃度が高くなると、水溶液表面にぎっしり並んで単分子膜を形成し、空気と水との直接の接触を完全に遮断してしまう((c)の状態)。この状態は、上図にて表面張力のカーブが下がってしまって、水平になろうとするあたりに対応し、この濃度から、もう少し濃度の高い辺りでは、水溶液中に界面活性剤分子が数十~数百個程度ずつ集まって、お互いの親油基を内側に向け、親水基を外側に向けた集合体(ミセル)となってきます。この界面活性剤のミセルが形成される最低の濃度のことを臨界ミセル濃度(c.m.c.)といいます。

臨界ミセル濃度(c.m.c.) と界面活性剤との諸作用との関係

図 臨界ミセル濃度と界面活性剤の諸作用との関係

界面活性剤の水溶液は、臨界ミセル濃度(c.m.c.)を境にして、電気伝導度、浸透圧、凝固点降下、蒸気圧、粘度、密度、可溶化能、洗浄力などの多くの物理的性質に急激な変化が生じます。

臨界ミセル濃度(c.m.c.)と界面活性剤の性質との関係を示すと、左図のようになるといわれ、界面活性剤を臨界ミセル濃度(c.m.c.)以上の濃度で用いることがいかに重要であるかがよくわかります。

②電気的反発力(電気二重層の形成)

図 電気二重層の概念図

乳化剤を用いて水に油を乳化させた場合、乳化剤は親水基を水相に向けて油の表面に吸着します。用いる乳化剤が特にイオン性界面活性剤である場合には、油に吸着した乳化剤の近くに、乳化剤の親水基とは、反対の電荷を持った対イオンが集まります。 

この対イオンには、粒子表面の電荷に引っ張られるクーロン力と、それをかき消そうとする熱運動が働きます。クーロン力が強く対イオンが粒子表面に固定されている部分を固定層、熱運動が強く対イオンが固定されていない部分を拡散層といい、これらを合わせて電気二重層と呼びます。

また、この2層の境界面での電位をゼータ電位といい、これが大きいほどに反発力が強くなって粒子同士がぶつかって凝集することを妨げる作用が働きます。

③立体的反発(立体保護作用)

図 高分子タイプ界面活性剤の立体保護作用の概念図

特に高分子タイプの界面活性剤の特徴で立体保護作用による立体的反発があります。

界面活性剤が、油粒子表面に強く吸着していたり、吸着している水和層が厚いほど、粒子間の立体的反発作用が強く、油粒子が凝集しにくくなります。この立体的保護作用は、界面活性剤が高分子量であるほど、また界面活性剤の親油基が油粒子と強く相互作用するほど、大きくなります。

乳化剤(界面活性剤)を選定する指標について

HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)

植物油や農業など、性質の異なった油を水に安定して乳化させるには、それぞれ用途に合った適切な界面活性剤をを選択することが必要です。

この選択には、界面活性剤の親水性と親油性のバランスが強く関わっており、このバランスを示す指標としてHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が提案されている。HLBの表し方には、グリフィンの方法などいくつかの方法があるが、中でも、界面活性剤の有機性と無機性を指標に計算する方法が便利です。

この式において、有機化合物の有機性と無機性の数値は下表に示す数値から計算されます。

 HLB≒10×無機性/有機性

有機性と無機性の数値
無機性基 数値
軽金属(塩) 500以上
重金属(塩)、アミンおよびNH、塩 400以上
ーAsO3H2、 >ASO2H 300
ーSO2-NHーCOー、ーN=NーNH2 260
ーSO3H、ーNHーSO2ーNHー 250
ーCOーNHーCOーNHーCOー 250
ーCOーNHーCOーNHー 240
ーSO2ーNHー 240

ーCSーNHー、ーCOーNHーCOー

230
=NーOH、ーNHーCOーNHー 220
=NーNHー 210
ーCOーNHー 200
ーCOOH 150
ラクトン環 120
ーCOーOーCOー 110
アントラセン環、フェナントレン核 105
ーOH 100
>Hg(共有結合) 95
ーNHーNHー、ーOーCOーOー 80

ーN< (ーNH2、ーNHR、ーNR2)アミン性

70
>CO 65
ーCOOR、 ナフタリン核(85)、キノリン核 60
>C=NH 50
ーN=Nー 30
ーOー 20
ベンゼン核(一般芳香族単核) 15
環(一般芳香族単環) 10
三重結合 3
二重結合 2
有機性 兼 無機性基 有機性 無機性
R4BiーOH 80 250
R4SbーOH 60 250
R4AsーOH 40 250
R4PーOH 20 250
>SO2 40 110
ーCSSH 100 80
ーSCN 90(70) 80
ーCSOH、ーCOSH 80 80
ーNCS 90(70) 75
ーBi< 80 70
ーNO2 70 70
ーSb< 60 70
ーAs<、 ーCN 40 70
ーP< 20 70(20)
ーCSSR 130 50
ーCSOR、 ーCOSR 80 50
ーNO 50 50
ーOーNO2 60 40
ーNC 40 40
ーSb=Sbー 90 30
ーAs=Asー 60 30
ーP=Pー、ーNCO 30 30
ーOーNO、ーSH、ーSー 40 20
ーI 80(60) 10(20)
ーBr 60(40) 10(20)
=S 50 10
ーCl 40(20) 10(20)
ーF 5 5
ーiso 分岐 -10 0
tert 分岐 ー>ー -20 0

有機性の数値:炭素原子1個当たり20と定める
無機性の数値:上表の数値による。ただし
①HLBの計算に利用する場合には、オキシエチレン(ーCH2CH2Oー)を特別扱いして、無機性値75、有機性値40を与える
②無機性基中の炭素原子に対しては有機性を別に加算のこと
③有機性兼無機性基中の炭素原子は、兼有の有機性数値中に加算済み。
④2つの文献値が存在するが、乳化に関しては、()内の数値のほうが適当なことが多い。

溶解度パラメーター(Solubility Parameter:SP)

次に、水と油がなぜ溶け合わないのかをくわしく考えてみます。お互いに溶け合うか、あるいは溶け合わずに分離してしまうかは、溶解度パラメーター(Solubility Parameter:SP値)と呼ばれる数値が重要な因子となります。

このSP値は、化合物を構成している官能基の凝集エネルギー密度の平方根で示される。低分子量の化合物同士であれば、このSP値がかなり離れていても相溶するが、高分子量の化合物同士であればSP値が通常約1以上離れていると相溶しません。


・SP値が高い化合物:水(SP値=23.4) 
・SP値が低い化合物:トルエン(SP値=8.9)
水とトルエンはお互いに溶け合わない

エマルションのイオン性と混合時の注意点

水とトルエンのような、お互いに溶け合うかことのない化合物も、エマルション状態としておけば、水にそれぞれの化合物が乳化した状態なので、混ざりあうことが可能となります。

なお、エマルション同士であれば全てが混ざり合うわけではないので、少し注意が必要となります。
エマルション同士が混ざり合うかどうかは、エマルション粒子のイオン性が重要な支配因子となります。

エマルション粒子のイオン性とは、その粒子の電気的な性質のことであり、アニオン性、カチオン性、非イオン性に分けられます。

アニオン性のエマルション 親油基にアニオン基(スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩)が結合した界面活性剤を使用
カチオン性のエマルション 親油基にカチオン基(アミン塩、第4級アンモニウム塩)が結合した界面活性剤を使用
非イオン性のエマルション 親油基に水酸基やポリエチレングリコール鎖が結合した界面活性剤を使用

これらのエマルションのうち、アニオン性とカチオン性のエマルションを混ぜると、お互いの粒子同士がくっつき合い凝集してしまうため、エマルションが破壊してしまいます(同じイオン同士や、非イオン性エマルションの組み合わせであれば、通常はエマルションが破壊することなく混合可能です。)



図 イオン性の異なるエマルションを混ぜたときの状態変化

乳化剤の用途

塗料・接着分野における乳化の役割

塗料・接着剤分野においては、耐久性や被着体の性質によって、溶剤系とエマルション系の使い分けがなされています。

図 エマルション塗料の乾燥過程の様子

エマルション系塗料や接着剤は、水には溶解しない樹脂が、水中に細かく乳化したものですが、いったん乾燥して固まると水に濡れても再び乳化することはありません。

これは左図に示すように、エマルションの状態では細かく乳化している樹脂が、水が蒸発するに従って濃度が上がるために樹脂粒子同士が融着し、均一な被膜を形成することによります。

乳化重合用乳化剤の役割

水性塗料や水性接着剤は、合成樹脂のエマルションを主成分としたものであり、この合成樹脂エマルションは、乳化重合と呼ばれる方法で合成されたものがほとんどです。

乳化重合とは、不飽和二重結合をもったモノマーを、乳化剤のミセルの中で重合し、高分子量化する方法です。得られる樹脂の分子量は通常、10万を超え、水に乳化しながら高分子量の樹脂を得る大変効率的な方法です。

反応性乳化剤について

不飽和二重結合と乳化機能を1分子中に併せもった反応性乳化剤と呼ばれるものも開発されています。非反応性の乳化剤を用いたエマルションでは、乾燥して被膜を形成したときに樹脂から乳化剤が遊離しやすく、被着体との接着力を低下させる原因となります。一方、この反応性乳化剤は、樹脂と化学結合し、樹脂中に取り込まれるので、エマルションが乾燥して皮膜を形成したときにも樹脂から遊離しないため、接着性能に優れている。

繊維用油剤

衣料の原料には綿や羊毛、絹のような天然繊維と、ポリエステルやナイロンのような合成繊維があります。この合成繊維は、モノマーの重合反応により、ポリマーを合成し、これを直径が1~100μm程度に細く引き延ばして製造される。 合成繊維は強度が強く、太さや形状などを自由に変更できるので、さまざまな機能をもたせることが可能であり、今日では天然繊維を超える生産量に達しています。

合成繊維を製造するときに使用される繊維用油剤について以下記載いたします。

図 合成繊維の製造工程と繊維用油剤

ポリエステルやナイロン繊維は、下図に示す通り、高温で反応して得られる溶融状態のポリマーを細い穴から取り出し、高速で引き伸ばして製造されます。

この製糸段階では、次の①から③の機能を有する繊維用油剤(例えば、エステル系やポリエーテル系合成潤滑油、リン酸エステル系や脂肪族アルカノールアミド系帯電防止剤の配合物)が使用されます。

①平滑性の向上
(糸が金属製のロールなどと接触したときによく滑らせる) 


②帯電防止性
(繊維と繊維がこすれ合ったときに静電気を帯びさせない)


③集束性
(加工工程中で扱いやすいように単繊維を集めてつくられた糸をばらけさせない)


これらの機能は、いずれも最終製品では必要がなく、また、糸にこのような油剤がくっついていると、布を染めるときに染色むらを引き起こすため通常、繊維用油剤は染色前の精錬工程で取り除かれる。 したがって、繊維用油剤は、最終製品には残っていないが、合成繊維を効率的に生産するうえで、極めて重要な役割を果たしている。

さて、この繊維用油剤は水に油が乳化された形、すなわち水中油型エマルションとして糸に付与されることが多いが、これは主に次の理由による。

①平滑性に優れた成分は疎水性が強く、通常、水に溶解しないので、必要最小量を均一に付着させるには、水で自由に希釈できるように、エマルションとしておく

②分散媒である水は、熱容量と蒸発潜熱が大きいため、糸の冷却効果に優れている。なお、希釈剤としての水は、安価でかつ火災などの心配がないので最適である。

繊維用仕上剤

染色後の合成繊維に各種機能を付与する薬剤を繊維用仕上剤と呼び、こちらもエマルションの形態で用いられます。

繊維に求められる機能の例としては、柔軟性、反発弾性などの風合い、撥水・撥油性、吸水性、可縫性、帯電防止性、抗菌性、防風性、ピリング防止性などのさまざまなものが挙げられる。


図 繊維製品のできるまで

繊維用仕上剤は、前述のように大変多くの機能を付与する薬剤であり、1つの薬剤だけではその要求にはこたえられない。従って、いくつかの種類の薬剤を混ぜて使用することになるが、ここで乳化機能が大いに活躍する。

水溶液であれ、有機溶剤の溶液であれ、均一な溶液とするには溶質(溶媒中に溶けているもの)は溶媒に溶解しなければならない。1つの溶質をある溶媒に溶解することは簡単であるが、性質の異なるいくつかの溶質を同じ溶媒に溶解させることは不可能な場合が多い。

溶質 ポリビニルアルコール ワックス ポリビニルアルコール
+ワックス
水に混ぜた場合 可溶 不溶 溶け残りあり
トルエンに混ぜた場合 不溶 可溶 溶け残りあり

上表に溶質としてワックスとポリビニルアルコールを用い、これを溶媒に溶解させる例を挙げた。
ワックスは極性が低いので、非極性溶媒であるトルエンには溶解するが、極性溶媒である水には溶解しない。一方、ポリビニルアルコールは極性が高いので、水には溶解するがトルエンには溶解しない。このように、溶媒と溶質の特性、すなわちSP値が近いものでないと均一に溶解することができない。

そこで、これら性質の異なる溶質(この場合、各種仕上剤)は、乳化によって1液化する方法がとられています。

  
機能別分類 主な組成 SP値
柔軟剤 高級アルキル第4級アンモニウム塩 9
撥水剤・撥油剤 シリコーン樹脂 8
フッ素樹脂 6
吸水剤 特殊ポリエーテル型界面活性剤 10
可縫性向上剤 ポリエチレンワックス 9
帯電防止剤 リン酸エステル など 10以上
風合い調整剤(反発弾性) ポリウレタン樹脂 10~11
風合い調整剤(硬仕上剤) ポリビニルアルコール 19

農薬分野

農薬の中に乳剤と呼ばれるものがあります。これは、農薬に乳化剤などを加えた液状のものであり、水に乳剤を注ぐことによって容易に農薬が水に乳化できるように仕組まれています。通常のエマルションは、機械的にせん断力を加えることによって製造されることがほとんどですが、農薬の場合には、このような機械を持たない農家や、一般家庭で使用されるため、自然乳化(水に油分を加えるだけで乳化すること)できるように仕組まれています。

乳化剤の寄与
①水と油の界面張力を下げる作用
②粒子表面に電荷を与え、粒子相互間の反発を与える作用
③油粒子に吸着膜を形成し、粒子表面を保護する作用

乳化剤としては、通常は、親油基と親水基を1つの分子中にもつ界面活性剤が用いられるので、①の作用は備えている。また、イオン性の界面活性剤を用いる(併用する)ことにより、②の作用も付け加えられる。ある油を乳化するのに、最適な乳化剤を選定するうえで、通常最も難しいのは、③の作用の最適化である。この③の作用を効率良く発揮するには、乳化剤は油粒子と強い相互作用を持ち、かつ水とも親和性がよいこと(親油基と親水基のバランス)が重要です。

化粧品分野

化粧品をその目的別に分類すると、皮膚清浄化粧品、スキンケア化粧品、仕上げ(メイクアップ)化粧品に大別されますが、
本ページでは、これらの分類のうち、乳化機能と関連の深いスキンケア化粧品、特に化粧乳液および化粧クリームについて紹介いたします。

化粧乳液と化粧クリームの役割は、皮膚、特にその最外層である角質層に水分と油分を補い、保湿および柔軟性を付与することにあります。
そのため、水に油分を乳化させたエマルションは、水分と油分を一度に、かつ、比較的自由な割合で皮膚に与えることができるので、好都合です。ここで乳化機能が重要な役割を果たしています。

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界面活性剤入門6(起泡剤、消泡剤)

参考文献
  • パフォーマンス・ケミカルスの機能シリーズ No.3​ (水と油を混ぜる 乳化機能編)​


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